台東区の蔵前と浅草間にあるキャラクターストリートには、『ドラえもん』や『アンパンマン』、『仮面ライダー』や『ウルトラマン』などの日本人なら誰もが知る国民的キャラクターの像がズラリと並んでいます。
キャラクターたちの隣には、この街でおもちゃを作り続けて65年の株式会社バンダイがあります。きっと一度はバンダイの商品を手に取ったことがあるのではないでしょうか? 今回は同社の広報・安齋直樹(あんざい なおき)さんに、幼いころに慣れ親しんだキャラクターやおもちゃのある暮らしについてお話をうかがいました。
(アイキャッチ写真:©創通・サンライズ)
『セーラームーン』が大ヒット。大人の女性を狙ってる?
── 最近では『美少女戦士セーラームーン』のアニメ版が再放送されたり、『デジモンアドベンチャー』のデジヴァイスが昨年発売されたりと、ぼくらにとって懐かしいと感じるものが、再び注目されています。当時リアルタイムでアニメを見たりおもちゃで遊んだりしていた世代が大人になった今、彼らに向けて商品展開しているように感じますが、それはあえてなのでしょうか?
安齋直樹(以下、安齋) 2013年に『美少女戦士セーラームーン』がちょうど20周年記念商品を発売してから、20~30代の大人の女性の市場で『美少女戦士セーラームーン』関連の商品が大ヒットしています。
きっかけは、「CreerBeaute(クレアボーテ)」という、バンダイが展開する大人向け本格派コスメブランドからです。『ベルサイユのばら』や『うる星やつら』という、時代にとらわれることなく人気で個性的なキャラクターを起用することで、女性が「こうなりたい」と描く理想のイメージが、キャラクターを介してダイレクトに伝わり共感を呼んでいます。また、口コミサイトでは、『ベルサイユのばら』のリキッドアイライナーが殿堂入りを果たすなど、機能面でも高い評価を得ております。
その「CreerBeaute」が立ち上げた新ブランド「ミラクルロマンス」で、F1層(20歳から34歳まで)の女性たちが幼い頃に憧れた『美少女戦士セーラームーン』をモチーフに、現代社会で戦う女性に送る大人かわいいキラキラコスメシリーズとして発売した商品が、インターネットやSNSで大きな話題となり、結果的にはものすごい反響がありました。
── なぜでしょうか?
安齋 最近はキャラクターの商品を身につけていることに、昔ほど抵抗がなくなってきたのではないかと感じています。身につけることで、興味を持つ人同士が繋がったり、当時の話など共通の話題に盛り上がったりする人が増えている気がします。
── 自分の「好き」を示すものですよね。今は子どもに加えて大人女性も、売上の割合を大きく占めているのでしょうか。
安齋 そうですね。去年の弊社の売上の約30%は、いわゆる20~30代の大人の女性層ですよ。
『町紹介番組』に見るエンターテイナー
── 地域を取材していると、おもちゃ屋がない町もあります。そこで暮らす人々はどのようにエンターテイメントを楽しんでいるのだろう、と気になります。
安齋 エンターテインメントは必ずしもおもちゃに関わる人たちだけが作り出すものではなくて、独自で生み出されているものもあると思います。
例えばテレビ番組などで町を紹介される時に、紹介しているタレントの方が、出会った町民と話しているだけで、エンターテイナーがいっぱい出てくるんですよね(笑)。些細ないじられ方だけでもおもしろい。
もちろん、エンターテインメントの施設など最近は楽しむ場所もたくさんありますが、子どもたちはおもちゃであっても送り手側が想像してないような遊び方をしたり、おもちゃなど遊ぶものがなければ、自ら遊びを生み出したりします。楽しむことが、エンターテインメントなんですよ。
おもちゃで子どもを笑顔にしたい
── おもちゃを家庭に届けるうえで、こだわりはありますか?
安齋 おもちゃで子どもを笑顔にしたいと思っています。
ですので、いちばん大切なのは安全であることだと思っています。どんな子どもも大人も、ワクワクしながら、おもちゃを買いますよね。その明るい笑顔が家庭の中に持ち込まれることを考えるだけで、とても幸せな気分になれます。
お話をうかがった人
安齋 直樹(あんざい なおき)
株式会社バンダイ 社長室 広報チーム。 「ガンプラ(機動戦士ガンダムのプラモデル)シリーズ」や、「スーパー戦隊シリーズ」、「仮面ライダーシリーズ」のおもちゃなど、数々の商品の営業や宣伝を担当し、2013年4月より同社広報業務に携わる。
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